止瀉薬(ししゃやく=下痢止め)でオススメするのは、
- ロペラミド
- ビオフェルミン(食あたりの可能性がある場合)
上記成分を有する薬剤です。
有効性
止瀉薬(下痢止め)について、有効性を保証する研究は多くはありませんが、ロペラミドとビオフェルミンについては、下記のような研究結果があります。
ロペラミドについては、飲まなかった方との比較において、便の硬さや、症状改善効果が認められています。[1][2]
ビオフェルミンについては、特定の菌による下痢の予防や、過敏性の腸疾患での下痢、小児での下痢に対する有効性が認められています。[3][4]
安全性
ロペラミドについては、感染症に伴う下痢症状に使用すると、効果が乏しいばかりか、薬による副作用や、下痢症状が長引くなど、かえって良くない結果が起きる可能性があります。
また、通常より多い量を、長期間使用することで、脈の乱れなどの心臓関連の副作用が起こる可能性があります。
ビオフェルミンについては、通常目立った副作用はなく、12週間ほどの長期投与も有効であるとする海外研究があります。
しかし、整腸剤の中には、乳糖を含む商品もあります。乳製品の摂取により、お腹の調子を悪くする体質の方(乳糖不耐症と呼ばれます)は、乳糖を含む商品を使用することで、むしろ下痢症状が長引く場合があるため注意が必要です。
経済性
オススメの2種類の値段は下記のとおりです。
- ロペラミド1回量(1錠)あたり138円程度。
- ビオフェルミン1回量(3錠)あたり36円程度。
同じ系統の別の薬の値段は下記のとおりです。
- ビオスリーHi1回量(2錠)あたり52円程度。
- 強ミヤリサン1回量(3錠)あたり36円程度。
- タンニン酸アルブミン+ベルベリン+ロートエキスの1回量(4錠)あたり132円程度。
比較してみると、同じ系統の薬より特別に高いわけではありません。
※価格は最小包装単位のメーカー希望小売価格で比較しています。一般的に、一箱あたりに含まれる薬の数が多いほど価格は安くなります。しかし、薬は効果に個人差が出ることもあるため、初めて使用する薬は最小単位での購入をおすすめします。
その他止瀉薬(下痢止め)
今回オススメした2種類の他にも、止瀉薬(下痢止め)には以下の薬があります。
ロートエキス
- 腸の過剰な働きを抑える
- 有効性に関する比較試験は少ない
- 一部の眼の病気(緑内障)や前立腺の病気(前立腺肥大症)などの方は使用できない
タンニン酸アルブミン
- 炎症のある腸粘膜を引き締めて下痢を改善
- 有効性に関する比較試験は少ない
- 一部牛乳と同じ成分が含まれているため牛乳アレルギーのある方は使用できない
タンニン酸ベルベリン
- タンニン酸アルブミンと同様の効果で下痢を改善
- 加えて腸内の菌を殺す効果(殺菌作用)もある
- 有効性に関する比較試験は少ない
まとめ
止瀉薬(下痢止め)については、
- 有効性・・・他の止瀉薬と比べ比較的有効性を認める研究結果が多い
- 安全性・・・菌やウイルスなどによる食あたりの場合ロペラミドは非推奨
- 経済性・・・同系統で比べても特別高い値段はない
上記を考慮すると、
ロペラミド
ビオフェルミン(食あたりの可能性がある場合)
まずは上記2剤のいずれかの使用をおすすめします。
参考文献
[1]A double-blind crossover comparison of lidamidine, loperamide and placebo for the control of chronic diarrhoea.Aliment Pharmacol Ther 1988;2:347-351.
[2]Effects of Loperamide Oxide on Gastrointestinal Transit Time and Anorectal Function in Patients with Chronic Diarrhoea and Faecal Incontinence.Scand j gastroenterol 1997;32:34-38.
[3]Prebiotics and Probiotics in Digestive Health.Clin Gastroenterol Hepatol. 2019 Jan;17(2):333-344.
[4]Probiotics for treating acute infectious diarrhoea. Cochrane Database Syst Rev 2010;(11):CD003048.
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