・病院でもらえば安くすむのにわざわざ市販薬を買う必要ある?
・健康食品って普通の食品より高いけど本当に効くの?
・そもそも市販薬も健康食品も、種類が多すぎてなにを買ったらいいのかわからない
自身の体調管理ため、市販薬や健康食品の使用を考えたとき、その種類の多さに戸惑う人が多いと思います。
私は薬剤師として10年以上病院に勤務し、主として医薬品情報の収集・評価を行ってきました。医薬品等について、根拠をもとに有効性や安全性の分析を日々行っています。
そこでこの記事では、医療を取り巻く周辺事情を踏まえて、市販薬や健康食品に対する考え方をお伝えします。
この記事を読めば、市販薬や健康食品の知識の必要性がわかり、自身の健康管理をしていくうえでの市販薬や健康食品との付き合い方がわかります。
なぜ市販薬や健康食品の知識が必要なのか?その理由について、これから解説していきます。
市販薬や健康食品の知識が必要な3つの理由

持病を持つ人の多くは、治療のために医療用医薬品が必要になります。すべての人にとって、生きるために食事は必要です。では市販薬や健康食品はどうでしょうか?
たしかに、市販薬や健康食品は、生きていく上で必ずしも必要ではありません。しかし、人生を、”安心して”生きていく上で、その知識は必要です。
・現行の保険診療維持には限界があるから
・健康を保つには予防こそが最も重要だから
・世の中の情報は両極端だから
上記がその理由です。
現行の保険診療維持には限界があるから
社会保障制度の改悪は続く

現在、日本では少子高齢化が進んでいます。少子高齢化に比例して、労働人口も減少しています。労働人口の減少は、そのまま社会保険料を納める人口の減少を意味します。
このような状況の中、社会保障制度を継続するためには、内容を改悪するほかありません。
社会保障制度の改悪を裏付ける出来事として、2025年度の国の予算案では、高額療養費制度の改悪が検討されました(今回は見送られました)。2026年度からは、薬局などで買える市販薬、いわゆるOTC類似薬の保険適応を除外する方向で調整が行われています。
しかし、改悪の流れとは逆に、特定の市販薬を使用した場合には、医療費控除を受けられる制度「セルフメディケーション税制」が2017年から始まり、現在も継続しています。自らの健康管理に積極的な方を優遇するという国の姿勢が伺えます。
医療用医薬品の供給問題

現在の医療用医薬品の供給状況は、厚生労働省のホームページ上で公開されています。
現在(2025年6月8日時点)の供給状況を見ると、全体の2割近い薬剤の供給が停止または減少しています。特定の病気を治療するうえで必要不可欠な薬剤の供給が滞っている場合もしばしばあります。
この供給不安は、2018年から現在に至るまで継続しており、改善の見通しは立っていません。たとえ病院を受診したとしても、希望する薬をもらえるとは限らない現状があります。
市販薬の適切な使用が重要

・社会保障制度は改悪される。
・病院に行けば必ず薬があるとも限らない。
上記観点から、市販薬を利用した、自らの健康を自ら管理する(セルフメディケーション)が今後重要となります。
健康を保つには予防こそが最も重要だから
健康寿命が大事

「健康寿命」とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を言います。自分の意思で身動きをとれずにベット上で過ごした期間よりも、不自由なく生活をできる期間を、多くの人は望むでしょう。ベット上で過ごす場合、医療の介入が必要不可欠です。医療の介入には当然、現在逼迫してる社会保障費が投入されます。そのため、健康寿命の増加は、個人にとっても国にとっても重要な課題です。
医師ガチャにもハズレあり

医師は、日進月歩の医療知識を長い年月を掛けて修め、数々の経験を積み技術を培うことでようやくなることが出来る高度な専門性を有する職業です。しかしながら、医師も人である以上、知識・技術には差が生じます。
現実の医療事故を題材にしたWEB漫画「脳外科医 竹田くん」に登場するような、未熟な医師も世の中には存在します。
参考URL:「脳外科医 竹田くん」(https://dr-takeda.hatenablog.com/)参照(2025年6月8日閲覧)
もしも自分が急病で倒れた場合、救急車で運ばれる先を自らの意思で選ぶことはできません。運ばれた先の病院で、「竹田くん」のような医師に当たる可能性もあるかもしれません。
健康食品の使用には正しい知識が必要

健康を維持するうえで、適度な運動とバランスの良い食事は非常に重要な要素です。健康食品は、この「バランスの良い食事」を助ける役割があります。しかし、選び方や使い方を間違えると、効果が無かったり、かえって健康を損なう場合もあるため、正しい知識をもって使用することが大切です。
世の中の情報は両極端だから
絶対に使うべきと発信する人たち

薬の使用には有益性(メリット)と危険性(デメリット)が必ず存在します。デメリットは、生命に重大な影響を及ぼす大きなものから、影響が小さなものまで様々です。しかし、デメリットがゼロというものはありません。
医療用医薬品であれば、専門家の判断のもとで使用されることから、絶大なメリットとデメリットを天秤にかけたうえで、「絶対に使うべき」と評価されることはあります。これと異なり、市販薬や健康食品には「絶大」と呼べるまでのメリットは、残念ながら存在しません。
そのため、デメリットの有無は常に意識する必要があります。デメリットがゼロでない以上、「絶対に使うべき」と断定することは難しいはずです。にもかかわらず、「絶対に使うべき」と発信する人が大勢いるのは、それがお金になるからに他ならず、これは資本主義社会の弊害ともいえます。
絶対に使うなと発信する人たち

「絶対に使うべき」と発信する人がいれば、「絶対に使うな」と発信する人も存在します。「絶対に使うな」と発信する人の提示する情報の多くは、デメリットのみを強調したものであり、メリットとデメリットのバランスを欠いた情報であることが大半です。自らが提唱する民間療法や霊感療法を売り出す目的である場合もあります。
また、怒りや驚きといった感情を掻き立てるセンセーショナルな内容は、人の興味や関心を強く引きます。陰謀論のような内容は、エンターテイメントのような側面を有しており、拡散されやすい傾向にあります。
このような、ネガティブメッセージの拡散性の高さも相まって、「絶対に使うな」という極端な情報が世の中には多く出回っています。
程よい距離間が大切

前述の通り、薬の使用には有益性(メリット)と危険性(デメリット)が必ず存在します。薬の使用の大原則は、「使うメリットがデメリットを上回る場合のみ使用すること」です。薬の使用だけでなく、健康食品の使用にも当てはまります。
市販薬や健康食品は、漫然と使用せず必要なときだけ使用する。言われてみれば当たり前と思うかもしれませんが、これが市販薬や健康食品との上手な付き合い方です。
まとめ:市販薬や健康食品の知識は必要

・現行の保険診療維持には限界があるから
・健康を保つには予防こそが最も重要だから
・世の中の情報は両極端だから
上記理由から、市販薬と健康食品の正しい知識は必要です。その知識の取得を、このブログではお手伝いしていきます。
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